令和7年7月8日の午後に、仙台サンプラザホールを会場として中高合同の芸術鑑賞会が開催されました。今年は和泉流の三宅狂言会による狂言「梟山伏(ふくろやまぶし)」と「棒縛(ぼうしばり)」を鑑賞し、日本の伝統文化の奥深さにふれる貴重な体験となりました。
プリグラムは次のとおり。
1. 狂言解説
2. 狂言「梟山伏(ふくろやまぶし)」
休憩
3. ワークショップ
4. 狂言「棒縛(ぼうしばり)」
5. 閉会の言葉
「狂言解説」では、最初に狂言の歴史について話をして頂き、「狂言」と「能」の違いや、この二つをまとめて「能楽」と呼ぶことなどを解説していただきました。「能楽」は、世界無形文化遺産にも登録されており、世界中で高く評価されているそうです。また、狂言の特徴や舞台装置についても詳しく解説していただき、生徒たちは興味深く話を聞いていました。
最初の演目「梟山伏(ふくろやまぶし)」では、登場人物が梟の霊に取り憑かれ、その動きが大きくなるにつれて、観客の笑いも大きくなっていきました。
休憩後に行われた体験(ワークショップ)では、中学1年から高校3年までの各学年・年次の代表者1名と2名の教員がステージに立ち、実際に歩き方や声の出し方などを体験してもらいました。
講師の先生は、「私のまねをしてください」「大きな声を出してください」と伝えて体験者を指導していただきました。講師の先生は師匠から理屈ではなく口伝で、ひたすら「まねる」ことで「学んだ」とおっしゃっていました。まさに、「まねぶ」は「まなぶ」だと感じました。
以下は、姿勢の作り方です。胸を広げ、ひじを軽く張ることで、たもとを大きく美しく見せることができます。腰を入れること、つまり軽くひざを曲げることで、美しく安定した姿勢を保つことができます。体験者は、一足(いっそく)をまっすぐ前を見て歩く「すり足」に挑戦してみました。
体験を希望した代表生徒の動きに会場も大盛り上がりです。
次は「ことば」の発声です。「この辺りのものでござる」という定番の台詞に挑戦しました。
狂言は2つ目の字が上がるそうで、「この辺りの、ものでござる」と下線部を強く発声するとのことでした。客席にも台詞が与えられ、体験者と客席とで掛け合いをしました。
体験者「この辺りのものでござる 太郎冠者 あるかー」
客 席「はーい」
体験者「いたかー」
客 席「おまえに」
会場の雰囲気もすっかり打ち解けて、いよいよ最後の演目「棒縛」です。棒に縛り付けられた太郎冠者と後ろ手に縛られた次郎冠者が、主人のいない間に酒蔵に入り苦心の末どうにか酒を飲むお話です。狂言独特のユーモアあふれる演技と巧みな言葉遣いに、多くの生徒が感銘を受けたようです。また、演者の動きだけで楽しめる演目で海外から体験入学で来ていた生徒も楽しめたと思います。
最後に代表生徒による花束贈呈とお礼の言葉がありました。「今まで能楽に興味はあったけれども敷居が高くて見ることができませんでした。今日は生で見ることができて良かったです。素敵なひとときをありがとうございました。」
花束を受け取った演者さんは次のようなメッセージを送ってくれました。「内容を全て覚えておくことはできなくても、今日、狂言を観たことを覚えていてほしいです。そして是非、能楽堂に観に来てほしいです。そうすることが、日本の芸能を守ることになります。」
この言葉は、日本の伝統芸能が未来へと受け継がれていくために、私たち一人ひとりが果たせる役割について、改めて考えさせられるものでした。生徒たちがこの体験を心に留め、文化への関心を深めていってくれることを願っています。
「梟山伏(ふくろやまぶし)」
狂言体験(ワークショップ)
「棒縛(ぼうしばり)」