活動報告 平成27年度
グローバルリーダー養成講座
8月10日(月)から14日(金)までの5日間,本校でグローバルリーダー養成講座が行われ,中学3年生15名と高校1年生17名,2年生1名と仙台白百合学園高等学校の高校1年生2名の計35名が参加しました。
この養成講座は,仙台二華SGHの3つの取り組みの1つである「言語活動」の一環として行われたもので,グローバルマインドや英語によるコミュニケーション能力を身につけることを目的としています。
今年は,ファシリテーターとしてGuy Smith先生(ニュージーランド出身)を,チューターとしてカリフォルニア大学の大学生8名を招き,経験豊かなGuy先生の進行により,生徒5,6人に1人のチューターがついて,英語でディスカッションなどを行っていくかたちで行われました。
始めに,簡単な自己紹介と自分のパートナーの紹介の後,このプログラムでの目標をグループで話し合いました。3日目は,ノーベル平和賞受賞者のマララさんのスピーチをもとにリーダーシップについて考えました。また,高齢者にとっての理想の社会についてグループで話し合い,グループでドラマを作りました。最終日の発表の際に必要なスキルを磨く良い機会になりました。最終日は,「プログラムを通して学んだ事」を全員の前で発表しました。発表前の準備でチューターから細かいところまでしっかり見てもらい的確なアドバイスを伝えてもらったおかげですばらしい発表になりました。
5日間楽しいことばかりではなく,大変なこともたくさんあったと思いますが,終了後に達成感と充実感を得たと思います。全員が大きく成長できた5日間でした。
自己紹介の様子 グループで話し合い 全体写真
中2総合学習(IS)「貿易ゲーム」
~ 1年生での学びをもとに,世界の現状認識を深めました ~
9月4日(金),中学2年生は総合的な学習の時間に,外部講師の先生方をお招きして「貿易ゲーム」を行いました。「貿易ゲーム」は,「世界の貿易や経済のしくみを知るとともに,その問題点や今後解決すべき課題(南北格差,経済支援,産業廃棄物,環境破壊など)に気づく」ことを目的としており,生徒は各クラスで5人1組のグループに分かれて活動しました。ルールは「暴力や盗みはいけない」という1つだけ。各グループには袋が1つずつ配られます。袋の中のものを使って,指定された形を作ってマーケットへ売りに行きます。実は袋の中身はグループごとに違っています。
開始早々,グループ間での交渉や取引が活発に行われ,クラス内ではあっという間に取引のための言葉が飛び交うようになりました。様子を見ていると,黙々と形をつくる役,交渉する役,他のグループの様子を偵察する役など,自然と役割が分担され,本当の国のように活動するグループもありました。
最後に講師の先生方から「このゲームを通して起こっていることが,現実の世界でも起こっている。そのことにも想像力を巡らせて行動することが大切だ」というお話をいただきました。授業後,生徒たちからは「もっとやりたい」という声が聞かれました。
世界に羽ばたく二華中生,実際の世界でどう行動するのか,今後のさらなる成長が楽しみです。
平成27年度 第1回SGHメコン川フィールドワークを実施
8月1日(土)から11日間,SGH課題研究ⅡAを選択している高校2年生の中から6名がタイとカンボジアを訪れ,SGHフィールドワークを行いました。
タイの南部ラノーンでは「汽水域での水問題」をテーマに,マングローブの植生の状態,伐採状況,エビ養殖池の土地利用の状況,商品作物を作るようになってからの生活の変化などについての調査を行いました。
カンボジアではシェムリアップを訪れ,上智大学や現地NGOとの連携をもとに「急速に都市化する農村の水問題」や「水利都市としてのアンコール」などについて学びました。また,周辺の農村やトンレサップ湖の水上集落でのインタビュー調査や水質調査を行い,現地での「水問題」に関する研究を深めました。
今年度の第2回メコン川フィールドワークは12月に実施予定です。
マングローブ林での調査 村長へのインタビュー 水上集落
(タイ・ラノーン) (タイ・ラノーン) (トンレサップ湖・カンボジア)
水上生活者へのインタビュー アンコールクラウ村での水質調査 アンコールワットにて
(トンレサップ湖) (カンボジア) (カンボジア)
中2「SRポスターセッション」
~ 中学2年生「水問題」をテーマに,自由な発想で研究発表を行いました ~
7月17日(金),二華会館を会場に2年生は「SRポスターセッション」を行いました。すでに7月7日(火)の授業参観でも保護者に対して発表しており,今回の1年生に対する発表は2回目になります。反省点を生かして,笑顔ではきはきと説明していました。
「ろ紙の種類による透明度の違い」「世界を支える『浮力』とは?」「転太郎君を助けろ!~水と片栗粉の最強コラボ」「水で柔らかい肉をつくろう!!」「プロジェクトZ~水と建築物の戦い~」など,生徒たちは自由な発想で課題を設定し,地道な実験で仮説の検証を行い,自分たちなりの結論を導き出していました。また,演出の工夫も,ドラマ仕立てで楽しく発表し,1年生の笑いを誘っている班もありました。
講評では,宮城教育大学大学院教授の田幡憲一先生から,「それぞれの班が工夫を凝らしていて楽しい発表でした。数値化することに苦労したと思いますが,数値を比べることは大事なことなので研究では重視してほしい。ある班は肉の柔らかさを測定するために,つまようじに一定の重さを課して測っていて面白いと思った。また,追求するためには単純化することも大事。あまり複雑にしないことを心がけてほしい。」と2年生に向けたご指導がありました。また,1年生に対しては「研究は準備が大事。今日の2年生の発表を参考に,今から意識して来年を迎えてほしい。」とのご助言がありました。
2年生にとっても,1年生にとっても実り多い2時間になりました。
A組 B組 C組
1年生が積極的に質問をしました
中3(SR)「北上川フィールドワーク」
7月5日(日),梅雨の合間の曇り空の中,石巻市北上町大須で「北上川フィールドワーク」を実施しました。
本校高校1年が北上川上流の岩手県八幡平でフィールドワークを行っていることを踏まえ,中高の学びの連続性を深めることを目的に,中学3年の時期に北上川下流でのフィールドワークを行うことにしました。
予定どおり午前10時頃,現地に到着した生徒たちは,NPO法人「りあすの森」顧問の武山文衛さんから「北上川葦原の昔と今」という題で講話をいただきました。続いて,事前指導でお世話になっている東北工業大学工学部環境エネルギー学科教授の山田一裕先生から水生生物観察後の葦原再生作業の段取りについて説明をいただきました。
講話をいただいた後,生徒たちは早速干潟に入り,グループごとに設定した50㎝四方の方形区から泥を取り出しました。その泥を何度もふるいに入れ川の水で洗い流しながら,水生生物(ゴカイ,チゴガニ,シジミなど)の観察を行いました。また,干潟を流れる小川に網を入れるとハゼの稚魚や小エビなどをたくさんすくうことができ,生徒たちは大喜びでした。改めて,自然と語らうことの喜びや楽しさを感じることができました。
続いて,生徒たちは葦の移植活動に取り組みました。「葦を掘り起こす」「葦を運ぶ」「葦を植え付ける」の3グループに分かれ,意欲的に活動しました。しかし,頑張れば頑張るほど泥に足をとられ,一人また一人と心ならずも泥に身を投じる女子生徒が… 限られた時間の活動で移植できた範囲はわずかでしたが,貴重な体験になりました。
昼食後は熊谷産業に移動し,会長の熊谷貞好さんから「葦」について,「縄文時代のたて穴住居のしくみは葦を利用した建築方法と同じ。現在ホームセンター等で売られている葦簀(よしず)は輸入したものがほとんど。葦の利用の在り方は多様で様々なものに利用できる。日本人は葦の良さを見直し,積極的に利用すべき。葦原の保存においても刈り取って使用するのが一番。ほったらかして置くのは良くない。」とのお話をいただきました。また,熊谷さんからは「自然とどう共存していくかは,これからの時代を生きるみなさんにとっても大きな課題になる。」とのメッセージが贈られました。
生徒たちは座学では学べない,フィールドだからこそ学べたことをたくさんのお土産にして帰路に着きました。
葦の掘り起こし
中1総合学習(IS)「世界がもし100人の村だったら」
~ 世界の状況を体験を通して学びました ~
去る6月19日(金)の6・7校時に,1年生は「世界を知る」の第2ユニットとして「世界がもし100人の村だったら」を行いました。今回は公益財団法人仙台観光国際協会に加え,山形のNPO法人IVY(アイビー)の方々のご協力をいただきながら,「識字率」が低いことが生む悲劇や貧富の格差が拡大していることの弊害などを体験的に学ぶことで,世界の国々の「多様性」を理解しつつ,より良い世界の在り方という視点で考えを深めました。疑似体験の一つとして,生徒たちはもらったビスケットの枚数(一番多くもらったグループが70数枚に対して,一番少ないグループが1枚の半分(0.5 枚))で,世界における富の分配のアンバランスを実感し,その差の大きさに驚きの声をあげていました。
今回の学習は,1年生にとって「適切な世界観」を身に付ける良き機会になりました。また一歩,『地球市民(グローバル・シチズン)』へとつながる階段を昇ってくれたように感じます。2学期には第3ユニット「世界の食糧事情」を学習する予定です。
ビスケットをもらった生徒たち
富の分配の現状に驚く生徒たち
中1総合学習(IS)「世界の国からこんにちは」
~ 国際理解を深め,国際感覚を磨く学習がスタートしました ~
去る5月22日(金)の6・7校時,中学校1年生は総合的な学習の時間に「IS(インターナショナル・スタディ)」をスタートさせました。1年生の段階では,世界の人々との交流を通して文化の違いを知ったり,世界の国々の現状を把握し問題の所在を明らかにしたりします。そして,2年生での「イングリッシュキャンプ(英語合宿)」,3年生での「海外研修旅行」につなげていくことになります。
今回は,公益財団法人仙台観光国際協会の紹介で,フィリピンの最上・カルメリータ・オハさん,ラトビアのアリーセ・ドンネレさん,タイのポーンルグロッチ・チャーノンさんの3名を講師にお招きしました。
各講師の方々から,母国の歴史や文化等を中学生が理解しやすいように説明していただき,二華中1年生の知的好奇心が大いに刺激されたようで,質問の時間も盛り上がりました。チャーノンさんは学習終了後も生徒に囲まれ,質問攻めにあっていました。短い時間でしたが,本当に良い国際理解の時間となりました。
本校は文部科学省からSGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定を受けています。本格的な課題研究は高校でスタートすることになりますが,中学生段階では「現代社会を生きる地球市民としての『適切な世界観』」「そこに生きる人々の気持ちを受け入れことのできる『共感する力』」の育成が求められています。高校で大きく飛躍するための下支えとなるような力をしっかり育んでいきたいと考えています。